INTERVIEWインタビュー

岩田 渉

WATARU IWATA

ソムリエ

 

岩田 渉

ソムリエ

食アカな人Vol.6でお話を伺ったのはソムリエ:岩田渉氏。25歳でソムリエ資格を取得し、27歳で全日本最優秀ソムリエに。さらにアジア・オセアニア最優秀ソムリエを経て世界大会の舞台へと飛び出し、一躍注目を集めた人物だ。

岩田氏は現在、京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社が営むホテル『THE THOUSAND KYOTO』でシェフソムリエを務めている。ソムリエとして、レストランで食事に合わせた飲み物を選択し、お薦めするのはもちろん、メニューやイベントの営業企画にもかかわり、職場のソムリエたちを育てながらチームを統括するのがシェフソムリエの役割だ。

原点にあるのは、お客様のことに興味・関心を持ち、一人ひとりの一挙手一投足を見逃さず、お客様の時間を豊かなものとしたいと願う「サービスパーソンとしての姿勢」。さらに、厳しい計数管理、制約条件の中で知恵と工夫を凝らしたワインを用意し、満足されるサービスを実現するための仕事をソムリエたちに伝えたいと願う「教育のマインド」だ。

一方、岩田氏は『THE THOUSAND KYOTO』のシェフソムリエとしてではなく、会社とは離れたソムリエ:岩田渉として、個人での役割も数多く担っている。日本ソムリエ協会理事として全国の支部等で例会セミナー講師役を引き受ける。ワインインポーターや酒造メーカーのアドバイザー、アンバサダーの仕事もこなし、ワイン業界、ソムリエ業界全体の未来への強い問題意識に根差した活動にも積極的だ。

瞬く間に日本ワイン界の次代を担う立場へと躍り出たソムリエ:岩田渉氏は何を考え、どのように行動してきたのだろうか? 周囲が驚く結果を出し、一気に駆け抜けた20代の若手期を超え、未来に向けて何を想っているのだろうか? これからのワイン界を背負う新星に話を伺った。
 

岩田 渉

ソムリエ

1989年 愛知県生まれ。母、姉との3人家族で育ち、高校時代はラーメン店でのアルバイトに時間の多くを費やした。自分の小遣いは自分で稼ぐべく始めたアルバイトだったが、想像以上に面白かった。将来はラーメン屋を開きたいと考えたこともあったそうだ。大学進学するつもりはなく、3年生になったときの偏差値は29.7だった。しかし、周囲が受験勉強を始め、遅ればせながら自らも受験勉強を開始。結果が出ることが面白く、成績は急上昇した。

無事に合格し、入学を決めたのは同志社大学社会学部だった。奨学金を学費に充て、生活費は自分で賄うこととなり、京都でも飲食店のアルバイトを開始した。その職場でフランス帰りのプロ料理人と出会い、刺激的な海外の話を聞き、飲食の面白さにも引き込まれていった。

大学2年生までに卒業に必要な単位の大半を取得すると、意を決して大学を休学した。海外で本格的に英語を学ぶためだ。渡航先はニュージーランド。ワーキングホリデーの仕組みを用いた。

現地でワインに魅了され、ソムリエとして歩むことを決意した。就労ビザを取得し、3年間に渡ってニュージーランドに滞在し、独学でワインを学んだ。さらにはヨーロッパ各地を自転車でまわり、海外でワイン文化に浸る4年間を過ごした。

帰国後、大学生活を再開するとともに、京都のワインバー『Cave de K』で働くことに。そこから快進撃が始まった。

2014年 ソムリエ資格取得
2017年「第8回全日本最優秀ソムリエコンクール」優勝
2018年「第4回A.S.Iアジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール」優勝
2019年「第16回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール」11位入賞

2019年9月には『THE THOUSAND KYOTO』シェフソムリエに就任した。現在は、その職務を果たす一方で、ワインインポーターやメーカーのアドバイザー、アンバサダーを引き受け、日本ソムリエ協会理事として各地での例会セミナーの講師を務める。自分自身のキャリアはもちろん、ワイン業界、ソムリエ業界といった広い視野での未来を創る毎日を送っている。 
 

食アカな人

第1回 海外に渡り、視野を広げた

第2回 ソムリエコンクールでの快進撃

第3回 新たな役割を自覚

第4回 未来を創り、次世代につなぐ

【食アカの視点】岩田渉さんへの取材を終えて